こんばんは!!
来年の東京オリンピックにむけていろいろな業界が様々な取り組みを行っていますね!
農業ではオリンピックに向けてグローバルGAPやJGAPなどの認証を推奨しています。
そこで今回は
GAPとは?
今取得してオリンピックが終わったら意味あるの?
といった疑問をメリット・デメリットという形で整理しました。
全く知らない人はGAPに興味を持っていただくきっかけになればと、何となく知っているよという人には少しでも知識が深まれば良いな思います。
GAPとは??
そもそもGAP(ギャップ)とはなんなんでしょう?
オシャレな子供がよく着てるよね。
そうだけど違います。
GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)とは、農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組のことです。
<引用:農林水産省HP http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/>
簡単に言ったら安全な食べ物を、環境を汚したりせずに、けがや病気とかにならないように作っていきましょうね。という取り組みです。
まあ言って見たら当たり前のことですね。
「俺の野菜は安全だし、環境も汚してないし、けがの心配もないぞ(^^)」と自分で言っても他の人から見たらダメな部分もあるわけです。
じゃあみんなが納得する基準を定めて、それを実施できたらOKってことにしよう!ってのがこのGAPなんですね。
GAPをやると何が良いの?メリット、デメリットは
GAPをやったほうが良いのは何となくわかるけど、今までのやり方を変えなきゃいけないこともあるんでしょ?
本当にやる必要あるの?
はっきり言って現時点では、絶対GAPをやらなきゃいけないってことはないです。
実際に日本でのGAP普及率は数%とも言われていて、ほとんどの農家さんがまだやっていないのが現状です。
日本は「国産」の信頼度の高さが、GAPの普及率が低い要因の一つだとも言われています。
GAPなんて無くたって国産は安心!という考えが強いんですね。
良いんだか悪いんだか。。
そんなこんなもあって、国内向けの生産物に関しては「GAPじゃなきゃダメ!」とか「GAPだから買う!」といった事は一部の大手企業のみで、全体としてはまだまだ少ないようです。
それではメリットは?
では具体的にどういったメリットがあるんでしょうか。
実際にGAPの取り組みをやっている農家さんにアンケートを取った資料がありました。
GAPをやる前と比べてどのような改善効果があったか?というアンケートです。
<資料:GAP導入による経営改善効果に関するアンケート調査結果>
メリット①販売面での改善
販売先への信頼度の向上という項目で6割近い農家さんが改善したと言っていますね!
先ほど国内ではまだまだGAPに関する需要は少ないと言いましたが、一方でヨーロッパなど海外の方がGAPの普及は先行しています。
海外の人はGAPがないと不安に感じる場合もあるようなんです。
実際に2020年の東京オリンピック・パラリンピックで選手に出す食材はGAPが基準になってますよね。
東京オリンピック用に限らず、輸出品などの海外の方向けの生産物はGAP(特にグローバルGAP)の認証が義務付けられるケースが国内向けに比べて多いそうです。
メリット②資材の不良在庫の削減
GAPの取り組みの中では、計画的な生産ができているかという項目があります。
どんぶり勘定で資材を買うのでなく、どの程度の売り上げのためにどのくらい野菜を作るから、これくらいの資材が必要なんだ!というのを根拠のある数字を使ってはじき出すわけです。
そういった取り組みの中で余剰な在庫が整理され、無駄な経費が削減されているようです。
メリット③補助金申請で有利
グローバルGAPやASIA GAPなどの国際水準のGAP認証を受ければ、農林水産省の補助金を申請する時に少し有利になります。
というのも、補助金は申請すればだれでも受けられるものではなく、農水省に「補助金を出すのにふさわしい」と思われた農家だけが受けられます。
そしてどのくらいふさわしいのか診断する項目がいくつかあるんですが、その項目にグローバルGAPかASIA GAPの認証を受けている。というのがあるんです。
補助金を受けたい農家さんが多い中で少しでも差別化を図れる項目として、有効だと思います。
メリット④従業員の意識改善
従業員の責任感や自主性が向上したという項目については7割以上の方が実感しています!!
これは僕にも思い当たる節が。
実は僕が3年研修を受けた農業法人もかなり熱心にGAPに取り組んでいまして、事あるごとに「これってGAP的にどうなの?」というセリフが飛び交っていました。
実は、ただ農業をやっていると、良くも悪くも自由度が高いんですよ。
ぶっちゃけ製品の規格さえ守っていれば何やってもいい風潮があるというか、自分を律するものが自分の倫理観しかないんです。
そんな中でGAPという共通の基準というか、拠り所みたいなものがあるとそれを守ろうとすんの。
その基準には模範的なことしか書いてないので、主体性があるように見られたり、積極性があるように見られたりするんですよね。
おそらくそんな感じで改善されたというアンケート結果になっていると思います!
その他にも品質向上の項目でも改善を感じている人が多く、程度の差はあるもののGAPを導入した人は、何かが改善された!という感触を持っているということです。
デメリットは?
一方でGAPの課題についてのアンケート結果がこちら。
デメリット①圧倒的な手間
いくつかデメリットはありますがこれが一番だとおもいます。
GAPは生産工程管理の取組です。生産工程のすべてをしっかり管理するわけですから、農薬の在庫数から始まって、畑の成分や作業日誌まですべて管理しなくてはいけません。
「何月何日に、この畑で誰が何の作業をしましたか?」
と聞かれたらスッと答えを準備できる状態じゃなきゃダメなんです。
そうなると当然、紙ではなくパソコンなどのデータで記録しておくほうが便利なのですが、そのデータの入力がまあめんどくさい。
幸いにも僕は前職がIT系だったということもありデータ入力も慣れればそんなに大変でもなかったですが、慣れていないとかなり大変だと思います。
日が昇る前から暗くなるまで畑で働いてきた後にドサッと事務作業が残ってる。。
「今日は疲れたから明日でいいや~」なんてやってるとどんどん溜まって大変なことになるしね。
IT導入率の低い農業のアンケート結果で、データ入力やデータ収集に関する手間が課題として上がってくるのは超納得です。
デメリット②消費者や取引先の理解が不十分
メリットの中に「販売面で売りやすくなった!」「営業がしやすくなった!!」という改善報告もありましたが、一方の課題では7割近くの方が消費者や取引先の理解が不十分。と感じています。
GAPに取り組む農家側からしたら
「うちの野菜はGAPもやってるし安全だよ!」といって売りたいわけです。
だって手間かけてGAPやってるんだから、当然「GAPやってる」というのを付加価値として扱いたいわけですよ。
ただ買う側からしたら
「GAP?なにそれ。頼んでないよ?そんなことより今まで通りの値段で売ってよ。」
て感じで、現時点ではあまり理解が進んでいないんですね。
GAPだけに売る側と買う側の認識にギャップがあるんだね。
わっはっは!僕ももうおじさんです。
くだらないことを言っているようですがかなり大事です。
つまりGAPは買う側が必要とおもった時に初めて付加価値としての意味がでてくるんです。
現在の消費者側の理解ではまだまだ付加価値としては機能していないと思います。
ただ今後はどうなるかわからないけどね!!
デメリット③金がかかる
GAPの基準に照らし合わせると、必要なものがたくさん出てきます。
例えば鍵付きの農薬保管庫が必要だったり、蛍光灯が飛散しないようなカバーが必要だったり、データを入力する用のパソコンやソフトウェアが必要になったりラジバンダリです。
更にGAPの認証を受けると登録料だナンダカンダといってさらにお金がかかります。
しかも認証したら2年ごとに更新しなきゃいけないのでまたお金がかかります。
ただ補助金もあります。政府はGAP推進にチカラ入れてますので、導入に関する費用についてはちゃんと要件を満たせば補助が出ます。
ただ更新などの維持費用については現在補助金はなさそうです。ワォ。
結局GAPとはどう付き合うのが良い?
結論から言うとGAPには取り組むべき。ただし認証を受けるのは必要になった時で良いとぼくは思います。
どういう意味
この後説明しますね。
GAPは取り組むべき
取り組むべきだと思う理由としては
- 他産業では当たり前のように行われていることである
- 何かしらのメリットは必ずある
- 今後はスタンダードになる可能性がある
という点です。
最初にも説明しましたがGAPは安全な食べ物を、環境を汚したりせずに、けがや病気とかにならないように作っていきましょうね。というのを基準を持ってしっかりやりましょうという取り組みです。
これ他の産業であれば製品の出荷までに関わるあらゆる部署でチェックリストなどを元にチェックされている事で、当たり前のことだと思うんですよ。
短期的には手間がかかるかもしれませんが、長い目で見ればその手間は必ずリターンとして戻ってくると思います。
また農水省をはじめJAもGAPの普及を一生懸命推奨しています。今はまだ理解が少ないですが、何れはスタンダードになる可能性があると思います。
ただし認証を受けるのは必要になった時で良い
GAPに取り組むというのとGAPの認証を受けるというのは別です。
GAPに取り組むのは自分らだけでできるけど、認証を受けるにはお金を払って認定員に認定してもらう必要があります。また更新の必要もあるのでそれにもお金がかかります。
だから認証を受けるのは、例えば
- 新たな販売先として「GAP認定を受けた人から買いたい」という人をターゲットにする場合
- 今の取引先から「GAP認定を受けてほしい」と要請があった
と言ったように費用に対するリターンがしっかりと望める場合まで待ってもいいんじゃないかなと。
そうなんだ。
GAPって資格みたいなもので、認定がないと意味ないのかと思ってた。
資格だって持っていることよりも、その知識がしっかりと身についていることの方が大事だよね!それと一緒だと思うよ!
実は都道府県が制定しているGAPは、「第三者による認証はないけれど、県が指定したガイドラインに沿ってやってね」って感じのものが大半です。
さらに都道府県によってはその取り組みに対する補助金が出るところもあります。
以上の点から僕はGAPには取り組むべき。ただし認証を受けるのは必要になった時で良いと思います。
ただし
これは僕が今家族経営で、JA経由の市場出荷をしているからです。
既に契約出荷をしていたり、従業員を何人も雇っているような方はGAPの認証を受けて
GAPの理解を勧めていくような働きをした方が良いかなと思います。
(僕が契約農家だったらそうします。)
さいごに
いかがだったでしょうか。
少しでもGAPに関する知識が深まっていただけたなら幸いです。
しかしいざGAPに取り組もう!と思ったとき、多くの方はGAPの種類の多さに混乱してしまうかもしれません。。。
というのも、GAPには日本のGAP協会が制定しているもの(JGAP、ASIA GAP)や、海外の団体が制定しているもの(グローバルGAP)や、都道府県が制定するもの(長野GAP etc)など種類が沢山あります。
そのあたりを整理した記事も書いたので、興味のある人は見てください。
んじゃ!
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